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※ちょっとしたお話

【ゆ:譲れない一線】22:20 2007/11/24

私は研修で日本を離れる間、成歩堂には連絡を取らない。
電話もメールも、それこそ手紙すら。
その代わり、かれの助手である綾里真宵にはこまめに連絡を取る。トノサマンファンということもあり、電話でもメールでもそういった話題になることが多いが、それでもお互いの近況を確かめるには十分だ。
「ミツルギ検事、なるほど君に代わりましょうか?」
「いや、止しておこう。仕事の邪魔をしても悪い」
「でもさっきからなるほど君があたしのことをすっごい睨んでるんですよ」
「ふむ、暇なのだろうか」
そうじゃないんですけどね、と彼女がカラカラ笑った。相変わらず明るい声音が羨ましい。私は彼女の言うふてくされた成歩堂が簡単に想像できて小さく笑った。
「では、そうだな・・・・・・来月頭に日本に戻るから予定を空けておくようにと伝えてもらえるだろうか」
「来月始めですね。もしかして休みなんですか?」
「残念ながら仕事だ。局内の人事関係で戻らざるを得ないのだよ」
「ええーっ、もしかして異動するんですか?」
「いや、私は動かない。ただ仕事の引継があるから戻るのだ」
「検事も大変ですねえ」
しみじみとした声音といかにもねぎらいの言葉が年齢とは不相応に思われて、私はもう一度笑った。
「伝言、よろしく頼む」
「了解ですよ、ミツルギ検事」
電話の向こうで騒ぐ声が聞こえたかと思うとウルサイッと綾里真宵が叫んだ。声が収まったところを見ると、どうやら影の所長というのはあながち間違いではないのかもしれない。私は苦笑しながら、電話を切った。

※まあ、声を聞くと会いたくなっちゃうからということでしょうか。最近、なるほど君がお馬鹿です。