私の初めての裁判は無罪でもなく、有罪でもなく、被告人の自殺で全てが終わってしまった。助けられなかった悲しさと分かってあげられなかった悔しさが同時に胸の裡を責めて、酷く苦しい。 「子猫ちゃん、酷い顔をしてるぜ」 そう言って優しく声を掛けてくれたのは神乃木先輩だった。 「先輩、私」 「言いたくないことなら言わなくていいぜ。余計な一言が心をえぐるときだってある」 「でも――」 「悲しい酒は飲むなってのがオレのルールだが、飲まなきゃ泣けねえ時もある」 だから飲めよ、と彼は寂しげに微笑んだ。 ※神乃木さんと千尋さん。初裁判後。 9:36 2007/08/19
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