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【a fading color】


止まらない感情をどうすれば良いのか分からない。
既に尊敬の対象としてではなく、劣情の対象として見ている。潔白であろうと願うのに。清廉であろうと思うのに。誰よりも多欲だからこそ、自制しようと足掻いている。
それなのに、直前まで留めた澱のような欲は何かしら発露する。ドロドロに溶けた本能が理性にしがみついて離れない。無理に剥がせば壊れてしまう。知覚しないことで負担を軽くさせようとしているのか。
昇華させようの無いヘドロのような欲に溺れて。膝も腰も胸も腕も頭も。足掻いて、藻掻いて。干上がるほどに欲しているのに。本音を押し殺しす。気付かないよう、気付かせないよう。気付かれたくない。
この手は血で塗れている。直接ではなくとも法律という便利で残酷な道具を使って、数多もの犯罪者を裁いている。中には確かに凶悪な者も居たのだろう。残酷な者も居たのだろう。それでも、殺したことに変わりはない。
死者の怨嗟は空っぽの己をすり抜けて、積み重ねられ。恨みつらみ。妬み嫉み。人間味が削げ落ちた哀れな存在。それでも人並みにぬくもりを欲して、渇して、苦しみ続ける。生半可な温もりでは満たされない。
誰も気付かない裂罅。誰も気付かない歪曲。
助けて欲しいと叫びながら、必死で声を殺す。
救われてはいけないのだとどこかで囁く。
「成歩堂」
辛うじて零した言葉は掠れて消えた。

※ミッタン一人語り。2。重いなあ

9:50 2007/08/19

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