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【嬾惰】


乱れたシーツを掴み、肩まで包まる。徐々におさまる熱と衝動に息を吐き、目を瞑る。特有の気だるさに眠気が加わり、うつらうつらと意識が遠のく。
このまま落ちて、再び目覚たとき。全てが偽りだったと気付いたら。
鼓動が早まる。先ほどまでの行為が全てが嘘だったと。とても優しくそれでいて残酷な声音で囁かれたのなら。思考を止めろと訴える。意識を落とせと脳が叫ぶ。
耳を塞ぐ吐息が痛い。
そもそも必然性は存在しない。計算だとか思惟だとかそんなものも存在しない。愛情も同情も存在しない。
ならば残るのは何か。
行為の途中に余計な言葉は吐かない。余計な感情も曝さない。ただ互いに欠けた部分を埋めあうように抱き合う。嬌声すら口付けに呑まれる。いつの間にか溺れている。まともな呼吸も出来ぬほど溺れきっている。感情を押し殺した下に欲望がちらちらと覗く。留まらぬ思考に意識が奪われる。
抑えるから抵抗するのだとまだ気付かない。
躊躇いがちに揺れる己の手のひらが見え、諦めるように落ちる腕。
「御剣」
その声に呼ばれることさえ喜びと感じて、酷く溺れる自分に気付く。
押し寄せた悦楽に身を委ねて、私は歪んだ醜い欲情に呑まれた。

※ミッタン一人語り。

9:42 2007/08/19

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