「っていうことだから、主役のミツルギ検事にあたしからプレゼントがありますっ」 「おー。で、何用意してるの、真宵ちゃん」 「もうっ、なるほど君が聞いてどうするのよッ。じゃ、ちょっと待っててね。準備するから」 「ム、あまりその、気遣わなくても良いのだが」 「イイんですよ。あたしがやりたいだけですから」 「そうだよ御剣。貰えるものはアリガタク貰っとけよ」 「キミが言うとアリガタク聞こえないのは何故だろうな」 「さあね。ほら、グラス空いてるぞ。もっと呑めよ」 「事務所で酒盛りと言うのもなんだかおかしな話だが、本当に良いのだろうか?」 「別に構わないよ。ココはそういう場所だから」 「確かに言われてみれば―――ココは道場なのか?」 「まあ道場、だよね。ホントお世話になったよ、この場所は。司法試験の勉強とか初公判の前日とか……その反省会とかね。千尋さんと一緒に呑んでるといつもココで朝を迎えてたんだ。割れるような頭痛と吐き気と寒気を伴って、さ。でも千尋さんは平気な顔して『だらしないわね、なるほど君』って笑いながら看病してくれて。うん、今となってはイイ思い出だよ」 「何と言うか、その原因は綾里弁護士のように思えるのだが」 「気にしたら負け犬らしいよ、御剣」 「………そうか」 「じゃーん、お待たせしましたー。ではでは真宵ちゃんのマジックショーでーす」 「おー、って真宵ちゃんその格好、何?」 「え、なるほど君の背広だよー」 「……何で?」 「ふっふっふ、お楽しみはコレからコレから。じゃあ、ミツルギ検事も心してご覧あれー。じゃ、この衝立に隠れて1、2の――」 「全く何を―――してええええええっ」 「うん? ココはドコかな」 「と、とととと、父さんッ!?」 「おや、怜侍。そうか、私は呼び出されたんだね」 「な、な、なななな何でまたッ、み、み、御剣のオヤジさんが?」 「ああ、キミ。龍一クンかあ。キミも変わらないねえ。特にその頭が」 「真宵クンが、呼び出した?」 「そう、だろうね。多分」 「そのようだね。まあ、気付いたらこんな状態だから私には何とも言えないけれど」 「ええと、お久しぶりです。御剣、弁護士」 「あっはっは、昔みたいに『オジサン』でも構わないのになあ。まあこうやって成長するとあんまりオジサンとも呼べないのかな。まあ呼びやすいほうで呼んでくれればどっちでもいいよ」 「父さん」 「ん、どうした怜侍」 「その、何と言うか。お、お久しぶりです」 「アハハッ、実の父親に畏まったって何も良いことはないぞ――――というか、怜侍」 「は、ハイッ」 「その首の、ヒラヒラしてるのは父さんどうかと思うな」 「――ッ」 「ついでに言うならその前髪も邪魔だろう。正直言って」 「――オジサン、僕も同感です」 「な、成歩堂ッ」 「あのフリルと髪型、一体どういう仕組みになってるのか不思議で堪らないんですよ。御剣弁護士」 「うん、まあそうだろうね。私もソレを不思議に思ったことがあってね。………父さん、そのフリルを見ると狩魔検事を思い出して笑いが込み上げてくるよ。アレは――」 「い、一体何をやらかしたんですか、父さんッ」 「聞きたいのかい、怜侍?」 「ぐっ」 「世の中にはね、知らなくて良いことが沢山あるんだよ?」 「ぬうぅぅ」 「オジサン、もしかして」 「あははは、そうだね。多分想像通りだと思うよ」 「イイ趣味してますね」 「ありがとう。キミとは気が合うね。どうだろう、ウチの怜侍なんか丁度イイ感じにイジり甲斐があると思うんだけど」 「な、何を馬鹿なッ」 「いやあ、もうとっくに僕は御剣のモノですから」 「そう? まあそういうことなら話は早い」 「何でしょう?」 「ゼヒともウチの怜侍を貰ってやってくれないか。今なら私の承諾書もセットしよう」 「いや、むしろ『お父さん』と呼ばせてください」 「それは勿論だよ。うんうん。いやあ父さん安心したよ。怜侍の婿姿を見れるなんてなあ」 「僕もお父さんと呼べる日が来るとは思いませんでしたよ」 「あっはっはっは、龍一クン、キミ、呑める口かな?」 「ええ、まあ人並みには」 「じゃあ呑もう。お嬢さんには悪いけど―――朝まで付き合って貰おうかな」 「喜んでお供させて戴きます。うん? 御剣、オマエも呑むだろ?」 「怜侍、突っ立ってないで早く座りなさい。今日はオメデタイ日だからな。父さんと一緒に呑もう」 「――――もうどうにでもして下さい」 ※なるほど君と信さん、意気投合編。二人に囲まれて、抵抗する気すら失せてしまったミッタン。頑張れ、御剣。 22:36 2007/08/17
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