抱きしめたままキスをするのが好きだ。 そんなに激しいものではなくて、ゆっくりと温度を分け合うような。 口唇を合わせるだけでは到底足りない、熱と抱擁と、安堵と。 全部ひっくるめたようなものが欲しくて。 ねだるようなあざとい真似はしないけれど、やはりそこはお互い分かっていて。 小さく呟けば強く抱きしめてくれる。 独占される心地よさ。 嫉妬も何も存在しない。 このまま溶け合えたらと思うほど求めてる。 背中に凭れると熱を感じる。 向き合うと欲が見える。 いつの間にか横になって、押し倒されて。 「その、いいだろうか?」 了解を得ようとする姿がおかしくて笑ってしまう。 いいよ、とまだ笑いながら自ら抱き寄せて逞しい首に縋りついた。 誘いなんていらない。 ただ居場所があればいい。 無理に求めなくても、互いに求め合うのならば。 いつでも熱を分かち合う。 触れなくても感じるその熱を。 だから。 共有する感情をまた一つに戻すため。 顔を寄せて、口唇をあわせたまま。 何も言わずに、鼻から漏れる息だけが音に変わり。 喘ぎは嬌声に、劣情は昇華される。 肌寒いのは周囲だけだから。 躯を寄せ合い、隙間を埋める。 照れるのは起きたあとでいいから。 今だけは甘えて。 ゆるい時間を過ごす。 何も言わない、何も語らない。 言葉ではなく、行為一つひとつに意味を込めて。 不安以外の何かとともにもう一度。 キスをねだった。 ※昔の文章を改変というか、もうこのバカップルいい加減にしろ。 10:46 2007/08/18
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