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【cleave】


彼が私のことを好きなのは重々理解している。
それを伝える困難さも理解している。
だが、私が彼をどう思っているのかと言えば難しいと答える。
好きだと言ってくれるのは真実なのか同情なのか。
愛してると言うのは本気か讒言か。
私には知る術がない。私には知る権利もない。
偽りの思いに誤魔化されるのは御免とばかりに目を瞑っている。
彼はそんな私に愛想を尽かさないのかと常々疑問さえ呈している。
私は自分の気持ちさえ分からない。
いや、自分の気持ちを分かろうとさえ思わない。だから。
あるのは、後悔ばかりだ。

「キミは、本当に私のことを好きなのだろうか?」
何か勘違いを起こしているのではないか、そう伝えると目の前の友人は酷く顔を顰めた。
怒ってるようにも泣きそうにも見える。
普段笑ってる印象の強い顔は少し歪めばこんなにも切ない。
私はどうやら失言をしてしまったらしい、と気付いた。
「すまない。聞いた私がどうかしてたな。こんなことは問うべきでは」
「御剣」
言葉を遮られる。ドン、と押されて私は壁に背をぶつけた。
「オマエって時々残酷だよな」
「成歩堂。何の真似だ」
「僕は前も伝えたはずだよ。本気だって」
「だがしかし」
「黙れよ」
低く抑えられた声でぼそりと言われて、思わず言葉を呑んだ。
「オマエが知りたいのは僕が本気かどうかじゃないんだろ」
「何を――」
声が掠れた。目の前の男の眼差しは酷く真剣で、私は思わず鳥肌が立った。

※つくづくこういう系統は書けないのだなあと思った。

1:15 2007/06/21

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