「ねえパパ、今度の土曜日ヒマ?」 「ん、どうしたみぬき?」 「あのね、みぬきとツーリングに行こうよ」 「ああ、そういうことか。ううん、土曜日か。――ああ、仕事がちょっと入ってるな。ゴメン、みぬき。パパ、行けそうにないよ」 「そっか。うん、仕事ならしょうがないよね」 「代わりと言っちゃなんだけど、御剣には聞いたかい?」 「うん、パパは仕事なんだって」 「そうか、それじゃ仕方ないな。あ、オドロキ君が居るじゃないか。彼には聞いた?」 「ううん、まだ聞いてない」 「じゃあ、所長室に居るから聞いてごらん。彼も自転車持ってるはずだから」 「あ、そうだね。ちょっと聞いてくる」 バタン、とドアを開けてみぬきが所長室へ飛び込んでいく。 オドロキ君が盛大に驚いているのが見え、みぬきはソレを見ながら笑っている。 僕の可愛い、そしてとても大事な、子供たち。 みぬきがオドロキ君にツーリングを誘っている会話が聞こえてくる。 オドロキ君もスケジュールを見ながら、了承しているようだ。 と、電話かな。みぬきが取った。 どうやら牙琉検事からのようだ。事件なのかな。そうするとオドロキ君の予定も怪しい。あ、みぬきが怒ってる。やはり事件のようだ。 「もう、牙琉検事。オドロキさんばっかりデートに誘わないで、みぬきも誘ってください」 「み、みぬきちゃん?」 「そうだ、牙琉検事も今度みぬきと一緒にツーリングに行きませんか? ああ、そうです。オドロキさんも一緒ですよ。ええ、三人で海に行きましょうッ」 予想は大外れ。単にオドロキ君を誘うための電話のようだ。 きっと今頃、響也君、スケジュール調整を必死で行ってるんだろうな。 みぬきが電話口で眉を顰めて、息を詰めている。オドロキ君も恐る恐るといった表情だ。 「あ、大丈夫なんですね。良かった、じゃあみぬきとオドロキさんと牙琉検事の三人で。ええ、じゃあ土曜日に。ハイ、よろしくお願いします」 とても嬉しそうなみぬきの笑顔に、何故か複雑な表情のオドロキ君。 もう僕には真似できないことだよな。 まあ、響也君には重々釘を刺しておけば、変なこともないだろう。 ああ、羨ましいな。そう、羨ましい。本当に。 「パパー、オドロキさんと牙琉検事が大丈夫なんだってー」 「あ、すみません。成歩堂さん。なんだかそんな成り行きになっちゃって」 僕は顔と手を横に振って、二人を見る。 愛しい、僕の子供たち。 「若いっていいよね」 僕はにっこり笑ってソファに寝転んだ。 ※もう、みぬきちゃんを可愛くてたまらん 0:43 2007/06/24
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