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【n】


溜息でごまかした。
言い訳はできない気がした。
風鈴の音より脆い、だるさを伴う身体。
渦巻いてばかりの後悔が、いつだって僕に囁いた。
口元を緩めてごまかした。笑ったように見えるから。
低気圧は千枚通しみたいに脳幹を突き刺していく。
息を止めることで泣くことを忘れようとした。

過密なスケジュール。
空っぽのカバン。
背伸びする温度計とは裏腹に指先はどんどん冷えて麻痺していく。
A4紙に印刷された文字列は頭の中で記号以上になりようが無く。
ああ、と呻いて書類を投げる。
僕一人が歩いたところで世界の何が変わるわけもないし。
僕一人が足掻いたところで世界の誰が見るわけでもない。
放置されたペットボトルの中に金魚が泳いでても驚きはしない。
ファイルを収めたスチールラックもそのうち重さに倒れてしまうだろうか。
そんなことが起こったところで何が変わるわけでも、ない。
たぶん次の日に僕が死んでも気付く人もいないだろうし。
たぶん君が居なくなったからって悲しむのは僕くらいだ。
思い出すとなんだか泣けてきて、僕は事務所のドアにロックを掛ける。
今、お客さんが来たってまともに応対なんか出来っこない。
何で君は居なくなってしまったんだろう。
どうして僕に何も言わなかったんだろう。

考えるうちに思考がバラバラと毀れていく。
もう駄目だ、涙が止まんないや。
そう一人言ちて、僕は嗚咽を押し殺した。

※1直後の成歩堂。痛いなあ。昔のデータをちょいと編纂。
15:44 2007/06/09

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