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【泥濘に沈む】


現実を見失えるほど器用ではない。
だから何時までも俯いていて何も見ようとしない。
無意味に映る澱んだ世界。
塞ぎ込むほど追い詰められてはいない。
捨てきれるほど簡単なものであったなら。
自ら手放すは希望。
それでも渇望する期待。
自分でも何をしているか判らない。
「あの頃に戻りたい」と言ったのは誰だったか。
私はとても厭だと思う。
戻りたくはないし、戻りようもない。
無邪気さゆえの残酷さを知りたくもなく、今更知られたくもない。
消してしまえるのなら思う存分消去してしまうだろう。
忘れたいと願っても、それは既に無用の産物。
時が経つにつれて鮮明さは次第に薄れていき、けれどもわだかまりだけは確実に残る。
私はソレを苦しみとは思わぬし、私はコレを試練とも思えない。
常に纏わりつき、絡みつく、粘質の生温さ。
如何にも気味が悪く首筋を撫ぜるような感覚。
私はソレを悲しみとは思わぬし、私はコレを捨てることなど出来やしない。
背中にべったりと縋りつく、重さだけで質量のない、誰にも見えぬ、私の闇。

ふと消えてしまいそうな意識の中。
私が思うのは君一人。
莫迦げたことと思いながらも脳裏に浮かぶ言葉の羅列。
叶うはずの無い願い。
呆とした頭で、呆とした考えしか浮かばずに。
明滅する視界の片隅に、やはり影が左右する。
けれど私は想うだろう。
瞼を閉じれば闇。
耳を澄ませれば囁き。
身を任せれば朽ちて。
足を踏み入れれば泥沼。
報われぬ想いだと、分かっていたのに。
雨が降る。黒い空は憂鬱を映すように何もかもが暗く見えた。
誰かが声をかけてきたのに、私は聞かないふりして通り過ぎた。

※ミッタン混乱中。ナルホド君みたいに素直にはなれない模様。

18:56 2007/06/10

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