「御剣ぃ、金貸してくれよぉ。今月マジピンチなんだってば」 「断る」 「そこを何とか。来週、トモコの誕生日なんだって」 「またか、貴様。だからろくでもない目に巻き込まれるのだ、馬鹿者」 「まあまあ、御剣落ち着けって」 「成歩堂ぉ。お前でもいいよ、貸してくれよぉ」 「嫌だ」 「お前ら、揃って苛めやがって。訴えてやるぞ、こらあ」 「ほほう、今の台詞本気だな」 「う」 「僕も訴えられる側なんだよね」 「うう」 「ここらでしっかり立場を教えんとな」 「そうだねえ、名誉毀損で賠償請求辺りが正当かな」 「それはいいな。私も協力しよう」 「くそおぉっ、お前らいい加減にしろよぉッ」 「何が?」 「どうした矢張、貴様から言い出したことだぞ」 「笑顔でそんなこと言ってんじゃねえよ。俺が悪かったよ、謝るよ、勘弁してくれよぉ」 「ってな感じだけど、どうしよっか御剣」 「ふむ、多少反省したようだな。まあ良しとしよう」 「成歩堂…御剣……」 「だが金は貸さんぞ」 「僕も」 「うおおぉ、そんな奴らだよお前ら。チクショー」 「……泣きながら走って行ったよ」 「まあ、いつものことだ。どうせすぐに金をせびりに来る」 「貸したことあんの?」 「一回だけな。それもまだ返してもらってない」 「うわあ、それ絶対忘れてるぞ。矢張のヤツ」 「忘れてようといまいといずれ返してもらわんとな。キッチリ取り立てるつもりだ」 「――ご愁傷様」 「ん、何か言ったか?」 「何でもないよ」 ※ナチュラル・バカ。矢張の真髄は水戸黄門のうっかり八兵衛に近いものがあります。 13:47 2007/06/10
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