【C:category】7:38 2007/09/04 「真宵クン」 「何ですか、ミツルギ検事」 「霊媒、というのはやはり幽霊がいるということを前提に行ってると捉えても良いのだろうか」 「ええと、どうしたんですか。急に」 「ム、いや、少し気になったものでな」 「ううん、そうですねえ。霊は居ますよ、やっぱり」 「しかし普段は見えないではないか。その、見えないものでは居ると断言し難いと思うのだが」 「でもあたしが霊媒やってるところを見たことありますよね」 「ウム」 「あれは証明にはならないんですか?」 「アレはなかなか判断に困るのだよ。確かに既に死亡している人間だと分かってはいるのだが。ウムムムム」 「何、また難しい話してるの、真宵ちゃん」 「あ、なるほど君」 「む、成歩堂」 「何の話してるの?」 「うん、幽霊が居るか居ないかって話」 「またその話かよ。結局、真宵ちゃんは居るって言ってなかったっけ?」 「しかし居るとなれば問題だぞ、成歩堂」 「何で?」 「存在するには場所が要る。たとえ浮いたり出来たとしても世界中の死亡した人間を収納できるほど地球上の表面積があるとは思えん」 「・・・・・・ええと」 「す、凄いこと考えてますね。ミツルギ検事」 「そうだろうか」 「あのさ、御剣」 「ム、何だ」 「そもそもその仮定は幽霊に質量がある場合だけ有効だぞ。ってか、幽霊に対する僕らとの認識が根本的に食い違ってる」 「ムぅ、どういうことだろうか」 「なるほど君、説明してあげてよ」 「何で僕なんだよ」 「あたしの説明じゃミツルギ検事、ますます混乱しちゃうじゃない」 「あのなあ。ううん、仕方ないか」 「では説明してもらおうか」 「偉そうだなあ。まあ、いいけどさ。ええと、最初に確認しとくけどオマエ幽霊とか信じてないんだろ?」 「ウム」 「じゃあ、残留思念とかも信じないよな」 「まあ、そういうことになるな」 「検事だから剖検にも立ち会うよな」 「む、当たり前だ」 「じゃあ、霊なんか居ないのは分かってるだろ」 「………先程キミが言ってたことと矛盾しているような気がするのだが」 「してないよ。ううん、説明しづらいんだよ、ホント」 「まあいい。霊など居ない。当たり前のことだ」 「じゃ、幻覚や白昼夢とかは信じるか?」 「信じるも何もそれは医学的に立証されている。脳が作り出したまやかしだ」 「うん、じゃあそういうこと」 「よく分からんぞ、成歩堂」 「え、だから幽霊の正体。ソレだから」 「……それは乱暴すぎないか?」 「そんなことないよ。個人の思いいれとか罪悪感とかそういうものが見せてるんだろ? じゃあ同じことだよ」 「真宵クン、私にはどうにも理解しがたいのだがどういうことだろうか?」 「ううん、生きてる人間は居るだけで存在を主張できるんだけど、幽霊の場合、死んじゃってるから生きてる人の思い出にしがみ付いてどうにか存在してる、っていうことです」 「ぬう」 「あ、コレはあたしの持論であって、里の見解とは違いますからね。あたしの霊媒も別に考えてください」 「まあ、アレは別物だよなあ」 「キミたちの意見を総括すると、結局思い出とか呼ばれるものが幽霊ということになってしまうのだが」 「うん、間違いじゃないよ。だからオマエの悪夢とかもその類じゃないかな」 「アレもか」 「乱暴に括ればね」 「まあ、結局のところ視覚とか五感全部を総括してるのが脳ミソだから、そこが混乱しちゃえば誤解もするだろ」 「理解し難いな」 「そういうことにしとけば楽なんですよ、ミツルギ検事」 「ウムムムム。あまり納得できないがそういうことにしておくとしよう」 ※幽霊談義。科学的にどうなのか、この意見。 |