【045:ハッタリ】11:00 2007/11/24
「ボクの理想は可愛くて、料理が美味くて、気立てが良くて」
「そんな女性なんか居るんですか?」
「いやあ、やっぱり中々難しいよね。特に料理が美味くて、ってところがね」
「へえ、ファンとか多いからその中に一人くらいは居そうですけどね」
「そうでもないさ。ただね、こう、お菓子とか気合の入ったものじゃなくて普段食べるような食事が美味い子ってのがそうそう居ないんだよね」
「ふうん、割と簡単なんですけどねえ」
「だから、特定の女の子と付き合うってのは中々無いんだよ」
「ファンじゃなくても、茜さんとかどうですか?」
「・・・・・・アレを料理と呼ぶのは料理に対して失礼だ」
「た、食べたことあるんですか?」
「一回だけね。ちょっとアレはどうかと思うよ、さすがにボクも」
「想像できないなあ。じゃあみぬきちゃんとかどうです? 結構料理美味いですよ」
「ボクに成歩堂さんに立ち向かえと言うのかい?」
「い、いやいやいやそんな大事にしなくても」
「大事じゃないと言い切れるかい?」
「ですね」
「一応ボクだって命が惜しいからね。彼女は魅力的だけど諦めるよ」
「へえ・・・・・・じゃあオレなんかどうですか?」
「――――うん?」
「あははは、冗談ですよ、冗談。って、何でそんな真面目な顔してるんですか?」
「いや、いいね。うん。いいかもしれない」
「え?」
「キミ、料理美味いよね」
「はあ」
「弁護士だからボクとあんまり変わらないし」
「はあ」
「可愛いし」
「はあ・・・・・・・・・は?」
「ボクと付き合ってくれないか」
「じょ、冗談は止めてくださいよ」
「ボク結構本気なんだけど」
「あの、オレ男ですけど」
「大丈夫、気にしないから」
「いやいやいや、オレが気にしますからッ。他に可愛い女の子なんてたくさん居るじゃないですか」
「例えば?」
「え、あ、茜さんとか」
「さっきも言ったけどアレは料理じゃない」
「う。み、みぬきちゃんとか」
「成歩堂さんに楯突くほどボクは無謀じゃないよ」
「そ、そうだ。ラミロアさんとか」
「あの人はボクの趣味じゃないからなあ」
「いやいやいや、オレよりはマシでしょうッ」
「何で?」
「いや、そんな詰め寄らないでくださいよ」
「オドロキ君ってさ、可愛いよね」
「何、馬鹿な事言ってんですか。牙琉検事、酔ってるでしょうッ」
「酔ってないよ。このくらいで酔うわけないだろう?」
「アンタのいつもの酒量から比べたらどう考えたって酔ってるとしか思えないんだよ。どうでもいいから、さっさと離れてくださいッ」
「ちょっとキスさせてよ」
「って、近い近い近いッ」
「ねえ」
「いい加減にしろッ」
「・・・・・・・・・・・・鳩尾は卑怯だよ、オデコ君」
※やりたかったのは「オレなんかどうですか」という台詞だけだったりする今日この頃。