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※ちょっとしたお話

【003:ストップ】4:03 2007/11/24

半端なアルコールが脳髄を埋めて。
「なるほど君、まだまだね」
ニッコリと笑う上司の顔を横目に、僕はうわあと悲鳴をあげながら潰れてしまった。

千尋さんは酒に強い。
というか、普段は呑まないくせにやたら強い。ザルとか枠とかそういうレベルなのだと僕は思っている。僕自身もそうそう弱いとは思ってなかったけれど、千尋さんと比べると全然弱い部類に入る。
僕が事務員として最初事務所に来た時に歓迎会を込めて飲みに行ったのだけど、ペースに付いていけず呆気なく撃沈されたことを思い出す。むしろアレは恥だ。
その時は居酒屋で適当にそれなりに呑んだ後に、事務所上にある勉強部屋で二人で呑んだ。僕はフラフラと足元だけは少し危うかったものの、意識は多少あった。あったはずだった。
と言うのも正直その後を全く覚えていないわけで。
気付いた時には毛布を被った状態で勉強部屋で転がっていて、おはよう、と笑顔で千尋さんに挨拶されてしまった。一体どこまで飲んだのか、どこまで醜態を晒したのか。覚えていないことほど怖いことはない。
僕が尋ねても千尋さんは笑うだけで、答えてくれることはなかった。しかも苦笑いだから色々やらかしてしまったらしい。恥ずかしくて穴があったら入って埋まりたいくらいだ。
「まあ、私だったら穴どころじゃすまないわね」
前言撤回。ちょっと死んでしまいたい。
うわああと嗄れた声で悲鳴をあげながら、僕は痛む頭を抱えて、もう一度板張りの床に突っ伏すのだった。

※千尋さん最強話。久しぶりにこの長さで書きました。やっぱりこのくらいが話を考えなくても済むから楽ですね(笑)