【098:ベンチ】3:49 2007/07/31
その日も留置所やら現場やら色んなところを歩き回って、ようやく一段落着いたかとホームのイスに凭れかかってグッタリとしていた。
とりあえずかき集めたデータが明日の裁判に使えれば万々歳だ。
ちらりと時計を見ると、既に20時を回っている。
携帯電話を取り出すとチカチカとランプが点滅している。
真宵ちゃんからのメールだ。
どうやら待ちくたびれて先に帰ってしまったらしい。
こんな時間になるまで女の子一人を事務所に残してしまったことに軽い罪悪感を覚えながら、僕は溜息を吐いた。
電光板には次の電車の時間が点滅している。
20:18。その次は20:25。
事務所に着くころには21時を過ぎるだろうけど仕方がない。
電車を使ったのは失敗だったな、とぼやいた。
はあ、と疲れた声を出すと、ますます気分が滅入ってくる。
自宅に帰ったところで食事の用意など全くしていない。
というか、ここ最近忙しすぎて買い物に行く暇も無い。
冷蔵庫にはおざなりにされた発酵食品くらいしか置かれてない。
口内炎が出来てるから、野菜とかも食べなきゃなあとは思うものの作る気力も湧かない。ううん、と唸っている間にアナウンスが流れて、ホームに電車が飛び込んでくる。
帰り道のコンビニでおにぎりでも買おう、そう考えながら、僕はのろのろと生温い車両に足を踏み入れた。
※疲れすぎ
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