【095:アルミニウム】23:59 2007/08/07 とりあえず整理してみよう。 ここにあるのはアルミニウムの粉だ。 大分前に御剣から貰ったヤツ。 ついでに言えば、茜ちゃんの事件のときに大いに役立ったブツ。 とりあえず整理してみよう。 アルミニウム。中身といえばやっぱり粉と言う他なくて。確か指紋検出とかに役立つんですよっ、とものすごく真剣に説得されたことのあるようなそんなものである。 で、そこで疑問だ。 「……真宵ちゃん、何やってんの?」 「え、い、イヤだなあ、なるほど君。も、も、もちろん証拠を集めるために決まってるじゃない」 「何の?」 「う、え、ええとね。うう、そんなに睨まないでよ」 片手には耳掻きみたいなモコモコした綿。もう片方には素っ気無いプラスチックケース。『アルミニウム・指紋とか出るヤツ』なんて茜ちゃんの丸っこい字で書いてあった。 「それで何の証拠?」 「え、ええと。じ、事務所には無いみたいだからちょっと出かけてくる――」 「真宵ちゃん」 ビクリと背を震わして硬直する真宵ちゃんに僕は声を掛ける。 「御剣の所に行っても何も出ないぞ」 「な、な、何でそのことを―――あッ」 「ボロは出たみたいだね」 にっこりと笑うと、真宵ちゃんは身震いしながら綿の棒を落とした。カラン、と乾いた音が響く。僕はゆっくりと一冊の本を掲げて、真宵ちゃんに詰問した。 「これは、どういうことかな?」 「え、な、何でなるほど君がその本持ってるのっ!?」 「質問に答えてくれたら教えてあげるよ」 ソレは実に安っぽい本だった。装丁も適当な作りで、表紙はあっさりとした紫に彩られている。筆文字のタイトルは文芸書でも通用しそうなものだったが、如何せん表紙の半分を埋め尽くした挿画が全てを裏切っている。 世間一般的に言う『同人誌』というヤツだ。 僕がコレを手元に持ってるのは偶然ではあったものの目の前の真宵ちゃんとしては大ダメージになりうる代物だ。なにせ。 「狩魔検事も協力してるんだって?」 分かりやすいほどに肩を震わす真宵ちゃんに僕は苦笑する。 勾玉をちらつかせると、真宵ちゃんの顔が青くなった。まあ、当然だよな。 「さて、そろそろ吐いてもらおうかな。全面的に」 「う、うう……な、なるほど君、黒いよ………」 今にも泣き出しそうな真宵ちゃんに僕は微笑みながら、尋問を始めるのだった。 ※黒いな。酷いよ。タクシュー氏のアレやソレネタから |