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※ちょっとしたお話

【088:リスト】9:05 2007/07/28

「ねえ、なるほど君。アレってミツルギ検事だよね」
「ん。ああそうだね。おーい、御剣」
「ム、成歩堂。キミも来ていたのか」
「まあね。ほら、星影先生のところが序審やったからさ」
「そうだったか」
「それより御剣こそなんでこんなところに居るんだよ」
「いや、私も捜査を補助していたからな。まあ成り行きというところか」
「そっか。焼香は終わったんだろ」
「ああ、今から帰るところだ」
「時間あるんだったら、どこかでお茶でもしないか。真宵ちゃんが疲れたって言うからさ」
「真宵クンが?」
「ええと、ハイ。ちょっとああいう場所はニガテなんです、あたし」
「顔色が悪いようだな。車で送ってやるぞ」
「え、いいんですか?」
「構わん。が、成歩堂の言うとおり少し休んだ方が良さそうだな。成歩堂、近くに何かあったか?」
「確か500メートル先にファミレスがあったと思うよ」
「ふむ、ならばソコにしよう。車を出すから乗りたまえ」
「サンキュ。ほら、真宵ちゃん」
「うん、ゴメンね。なるほど君。ミツルギ検事」
「……随分、体調が悪そうだな」
「なんだか雑霊とかが集まりやすいんだってさ、ああいう場所は」
「そうか、確かに帰りなどは肩が重いような気もするが」
「清めの塩はやった?」
「ああ、忘れていたな。持っているか?」
「うん、掛けてやるよ」
「すまない、では車を取ってくる」
「悪い。頼む」
「なるほど君」
「うん、真宵ちゃんは寝てていいよ。背負ってあげようか?」
「大丈夫、まだ立てるから」
「成歩堂、乗りたまえ。真宵クンは後ろのシートが良かろう。横になってると良い」
「ほら、真宵ちゃん」
「……うん」
「じゃあ、頼むよ御剣。そこの通りを右に曲がればあるからさ」
「うむ、ゆっくり走ることにしよう」
「うん、お願いするよ」
「真宵クンは、大丈夫か?」
「多分ね。今は横になってるけど」
「私もああいう場所はニガテだ」
「得意な人間なんて居ないよ。葬式なんてさ」
「父が死んだときを思い出してしまうのでな」
「うん。僕も千尋さんの時を思い出すよ」
「真宵クンにとっても気が重くなるな」
「あ、御剣。その角右に曲がって。そう、その先駐車場だから」
「ココでいいか?」
「適当でいいよ。真宵ちゃんも気持ち悪そうだし」
「――う」
「真宵ちゃん、大丈夫?」
「顔色が真っ青だぞ、外に出るか?」
「ううん、あたし車の中で休んでるよ。ちょっと横になってるね」
「僕ら居なくても平気?」
「うん、寝てるだけだから」
「後ろのトランクにブランケットを積んである―――うむ、コレを使いたまえ」
「ありがと、ミツルギ検事」
「じゃ、ちょっと時間潰してくるからゆっくり寝ててね」
「………うん」
「真宵クンはだいぶ参ってるようだな」
「そうだね。やっぱり連れてこなきゃ良かったよ」
「しかし、後味の悪い事件だったな」
「そうだね。あ、二人です。ええ、禁煙席で」
「担当検事が軽いノイローゼにかかって現在休職中だ」
「そっか。御剣、ドリンクバーでいいかな」
「ム、構わん」
「じゃ、ソレふたつ」
「宗教がらみの裁判はそういう問題が多いからな。局内でもやりたがるものはなかなか居ないな」
「そっか。僕らと違って嫌だから断る、ってことは出来ないもんな。あ、紅茶でいい?」
「ウム、頼む」
「――――ハイ」
「すまないな」
「いいって。どうせ僕の分のついでに取っただけだから。でさ、今回の事件、僕なりに調べなおしてみたよ」
「あの男は本当はシロなのだろう?」
「うん、でも依頼されたのは星影先生だからね」
「キミのところでやると思ったのだがな」
「やっぱり難しいよ。被害者も多いし、被疑者も多いから。一人じゃとても追いつかないから頼んだんだ。でもやれば良かったかなって思ってる」
「仕方あるまい。規模が大きすぎるからな、ああいうのは」
「でも、結局ケリが付かないから被害者の泣き寝入りで終わっちゃったね」
「社会的には付いただろうな。人が死ねば、それなりに世間の目は厳しいものだ」
「それで済めばいいけどさ」
「全くだ」
「あ、そうだ。星影先生に頼まれてたの忘れてた」
「ム、何かあるのか?」
「うん、本当は担当の検事さんに渡す予定だったんだけど御剣でもいいかな」
「何だろうか」
「ホントは序審の時に使うはずだったみたいなんだ。間に合わなかったけどね。優良顧客のリスト、らしいよ」
「見せてみろ」
「うん」
「………コレは問題だな」
「そうなんだよ。この名前ってオマエのところの上司だろ」
「ああ、その下は警察庁の幹部だ」
「で、こっちが衆議院員でさ」
「自殺した理由も分かる気がするな」
「どうにかならないかな」
「対処してみよう」
「今回の自殺も僕はちょっと疑ってるんだよ」
「裏から手を回したものがいるというのか?」
「ありえない話じゃないだろ」
「確かに、な」
「だからさっきの告別式のときに遺族から依頼を受けてきた」
「キミは」
「うん、どうなるか分かんないけど出来るだけやってみるよ」
「重々気をつけたまえ」
「分かってるって」
「……そろそろ戻るか。真宵クンが心配だ」
「そうだね。送ってくれるんだろ?」
「ああ、事務所までは送ろう」
「悪いな、いつも」
「お互い忙しくなりそうだな」
「オマエも十分気をつけろよ」
「安心しろ。キミほど無謀ではない」
「うん、信頼してるよ」
「まあ、下手しても海外出向で済まされることはこの前ので立証済みだ。上の弱みを握ってるようなものだからな」
「オマエね。ま、いいや。じゃ、ゴメンだけど送ってくれよ。ココの支払い持つからさ」
「大した額でもあるまい。しかし、そこまで言うのならたまには奢ってもらおうか」
「先、車出しといてよ。会計済ませたら乗り込むから」
「ム、了解した。では頼む」

※なんだか話が膨らみすぎたよ。ううん、喪服は色っぽいとか書こうとしたのに