【081:アナログ】0:59 2007/07/20
キリキリキリ。
そんな音が今日も部屋に響く。
すっかり慣れた日常に僕は大きく欠伸をした。
キリキリキリ。
寝惚け眼で見ると、腕時計を持った御剣が竜頭をくるくる回している。
発条が巻かれて、今日も時を刻むのだろう。
「今日も出るんだ。休日出勤なんて大変だね」
「ム、起こしてしまったか。すまないな」
僕が声を掛けると、竜頭を回す手も止まる。いや、ちょうど巻き終わったところらしい。手巻き式は大変だよな、といつも思う。
「で、何時に帰ってくるの?」
「昼過ぎには終わらせる。まあ、急な仕事が入らなければというところだろうか」
「ふうん」
もぞもぞと布団から這い出て、ベッドサイドにちょこんと座る。
「じゃあお昼はどうすんの? 帰ってくるんなら作っとくけど」
「いや、私のことは構わなくて良い。キミも疲れてるのだから休日くらい寝ていたまえ」
「うん。じゃあお言葉に甘えて」
御剣はベストのボタンを留めて、ジャケットを羽織っている。首のフリルもいつも通りだ。いや、昨日付けたキスマークがギリギリだったのか、いつもより幅広に巻いている。ちょっと優越感で、にへらと笑った。
「御剣ー」
「何だ?」
「お出かけのキスしようよ」
「断る」
えー、と僕は口を尖らせる。呆れた顔で見られたが、まあそんなものだ。
「じゃあ、おやすみのキスでも良いよ」
「私は今から出かけるのだが」
「だーかーらー、僕は寝るからさあ」
なんでも良いんだ。理由なんて。
「ねえ、御剣?」
※時計大好き。是非ともミッタンにはピアジェとかモーリス・ラクロア。カルティエもいいかも。視認性が良くて、シンプルなものを付けて欲しいものです。なるほど君にはブランパンとかタグ・ホイヤーかな。個人的になるほど君は自動巻き、ミッタンは手巻き式だと萌える。