【069:サイレント】0:53 2007/06/21
夜中になると急に目が覚める。
私は飛び起きて、呼吸を整えた。
ゆっくり深呼吸を続ける。大丈夫。何事もない。
ふと隣を見ると安らかな寝顔の男が居る。
腕で枕を跳ね上げながら、鼾さえかいている。
「成歩堂」
私は名前を呼ぶ。だが返事はない。あるのは呼吸音だけだ。
そっと触れた手のひらは熱を帯びて熱かった。
夜中になると目が覚める。
僕はゆっくり瞼を開けて、目が慣れるまでじっと待つ。
ようやく陰影がつかめてきたら、上半身だけ起こして静かに息を吐く。
隣には死んだように眠る男が居る。
横向きに寝てるせいで髪の毛がしな垂れて、本当に死んでるみたいだ。
「御剣」
僕は名前を呼ぶ。やっぱり返事はない。耳を澄ませると微かに息をしている。
頬に触れると僅かに身じろぎした。
口付けると眉を顰める。ああ、大丈夫。生きてるんだ。
現実なのか夢なのか。分からないまま僕は再び眠りについた。
※眠る人。遠恋の人たちなので、傍にいると逆に不安。