「御剣、襲っていいか？」
「イキナリ、何をフザケた事をぬかしているのだ。キミは」
「えー、だってさ。浴衣だよ、浴衣。誘ってるとしか思えないじゃないか」
「意味が分からん。それよりキミもさっさと着替えたまえ。真宵クン達が待ちくたびれてるぞ」
「あ、そうだったっけ。うん、ゴメン」
「もしかしてキサマはその格好で行くつもりだったのか？」
「うん、そうだけど」
「浴衣なら出しておいただろうが」
「僕、着付けできないし」
「………とりあえず上着を脱げ。着付けてやろう」
「出来るの？」
「一応な。袖を掴んで左右整えろ」
「あ、ゴメン。コレでいい？」
「ウム。ああ、もう袖は離していいぞ。帯はこのくらいのキツさでいいか？」
「ちょっと苦しいかな」
「問題ない。緩いと解けてしまうからな」
「あのさ、御剣」
「どうした」
「この角度から見るうなじってさ、かなり色気があるんだけど」
「馬鹿なことを言ってる場合か。ほら、後ろを向け。帯を結んでやる」
「真宵ちゃん達に今日行けなくなったって言ったら怒られるかなあ」
「ロクでもないことを考える前にさっさと支度をしろ。この阿呆」

※真宵ちゃんに「祭りだったら浴衣だよ、浴衣っ」と押し付けられたらしい。臙脂色の浴衣に御剣は満更でもない様子。成歩堂はもちろん青。