【067:ジャイロ】16:42 2007/07/27
「すいませーん、占ってくださーい」
「あら、可愛い子ね。後ろの男性は彼氏? 恋愛運かしら?」
「ええと、恋愛運は合ってるんですけど、彼氏じゃありません」
「じゃあ、その隣の男性かしら?」
「いえ、占って欲しいのはあたしじゃなくて」
「え、違うの?」
「真宵クンが占ってもらうのではないのか?」
「この二人の恋愛運です」
「ちょ、ちょっと待てってば真宵ちゃん」
「な、な、何を急に」
「だって二人とも進展が無いんだもん。ここはあたしが背中を押してあげるべきかな、なんてさ」
「イヤイヤイヤ、僕らそんなの占ってもらう必要ないし」
「そ、そもそも何で私とコレなのだ。男同士ではないか」
「へー、そんなこと言うんだ。案外二人とも冷たいよねー」
「な」
「ま、まさか真宵ちゃん」
「付き合ってるんでしょ。2ヶ月前から」
「なんで真宵ちゃんが知ってるんだよッ」
「だってカレンダーに丸してたじゃない。満面の笑みで」
「み、見てたのか」
「あたしが来てたのにも気付かないなるほど君が悪いの」
「隠してたのに……」
「二人ともなんであたしに隠すの? もう、あたしだって応援してたのに」
「うう、バレてるなんて思わなかったよ」
「アレでバレてないと思うなるほど君が凄いよ」
「ねえ、盛り上がってるところ悪いんだけど」
「あ、ああすみません」
「ソコの彼氏、固まってるわよ」
「わー、御剣っ。しっかりしろって、オイ」
「ぬ。何かこの店に入ってからの記憶が無いのだが」
「何でだよ。ああもう、真宵ちゃんッ」
「で、で、このバカップル、上手く行きますかねー」
「まあ、大丈夫じゃないかしら。この状態だし」
「だーかーらー、さっきから言ってるだろ。真宵ちゃんにバレちゃってるんだって」
「ソレはどんな日本語だ、キサマ。真宵クンがどうしたというのだ」
「あたし一人バカみたいに思っちゃうことが多いんですよ、最近」
「そんなものよ、人生は。少なくともこんなバカップルは久しぶりに見たわね」
「そうですか? 結構カップルとか多くないんですか?」
「案外、不仲のカップルが別れるキッカケを作りに来るのよ、占いに」
「へえ」
「僕の口から言わせるなよ。覚えてるんだろ、ホントはっ」
「なんだと。キサマ、赤い顔して何を支離滅裂なことを言っているのだ」
「それは、なんと言うか後味悪いですねえ」
「占いのせいにしちゃえば、アッサリ別れる子も多いのよ。何でかしらね」
「真宵ちゃん」
「何よ、なるほど君」
「もう疲れたからコイツに説明してやってくれよ」
「やだ」
「真宵ちゃんッ」
「成歩堂、キサマ何を企んでいるのだ。真宵クンが何か知っているというのか?」
「もういいよ、後で説明するから。とりあえず機嫌だけ直してくれ。頼むから」
「見事なまでのバカップルね。ある意味芸術的だわ」
「ですよねー。あ、そういえば占ってくれます。この状態ですけど」
「占うまでもないわよ。バカップルなんだから」
※【61.シャッター】の続き。占いに連れて行かれた二人は真宵ちゃんに暴露されて大混乱。事務所に戻った後に改めて真宵ちゃんの口から説明されて、半狂乱のミッタン。平常心を取り戻すのに小一時間は掛かったそうな。