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※ちょっとしたお話

【055:ジレンマ】23:29 2007/07/09

「御剣、僕のこと好き?」
「突然どうした?」
「僕のこと愛してる?」
「成歩堂」
「僕が居なくなっても、平気なんだろ?」
「だから、一体何だというのだ。いい加減にしたまえ」
「ああ、うん。ゴメン。僕が悪かったよ。忘れてくれないか?」
「成歩堂」
「うん?」
「私はキミの傍に居るぞ」
「でもさ、いつでもって訳にはいかないだろ? 仕事でまた世界中回るかもな」
「ああ、それもあるだろうな。しかし、キミに何かあったときはいつでも駆けつけてやろう」
「それじゃ足りないんだよ、御剣」
「どういうことだ」
「……こんなに自分が独占欲の塊だと思わなかったよ」
「むゥ」
「他の誰にも御剣を見せたくないし、触れさせたくないんだ。重症だとは自分でも思ってるんだけどさ、ダメなんだよ」
「キミは、意外とそういうことにはドライだと思ったが」
「違うよ。キミだって僕が執着いことくらい知ってるだろ?」
「しかしアレは」
「同じだよ。結局、好きで仕方なかったから追いかけてただけなんだと思うし」
「それだけか? キミが前に言ってた弁護士になりたいというのはその理由だけなのか? 無罪の人を救いたいと言うのは――」
「御剣。僕は言葉を使う職業だけどさ、言葉を信じないことにしてるんだ」
「………」
「もうこれ以上言葉に囚われるのは辛いんだよ」
「――キミは自分のことは本当に後回しなのだな」
「これでもまだ僕のこと好きだとか言える?」
「バカがバカなりにバカな事を考えるからバカだと言うのだ。この馬鹿」
「ははっ、その台詞聞くの久しぶりだね」
「好きでなければ誰がキサマなんぞと付き合うものか。この私が、だぞ」
「僕はキミの事好きだよ?」
「言葉は信じないと言ったのはキサマだろうが」
「うん、でもさ。やっぱり言葉にしないとそのまま忘れちゃいそうだから」
「慣れないことをするからだ。だが」
「何だよ」
「結局のところ、キミは私から『好きだ』という言質を取りたいだけなのだろう?」
「そう、かもしれないね」
「私はキミを愛してる。それで良いではないか」
「へ? あ、うん。ちょっと御剣、ゴメンもう一回言ってよ」
「二度は言わん」
「ええーッ、そんな意地悪なこと言うなよ」

※なんだかとりとめのない話。3と4の間くらいの自己嫌悪なるほど君