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※ちょっとしたお話

【015:ボトル】15:10 2007/06/20

「何か言い分は?」
「……ゴメンなさい」
「随分子供じみた怒り方だったな」
「ああ、もうゴメンって言ってるだろ」
成歩堂はそう言って、テーブルに突っ伏した。

事の発端は大したことのない、ろくでもない世間話から始まる。
というか酒の呑み方で始まった。
「ビール切れてたっけ」
「うむ、しかしワインならソコに冷えてるのがあるだろう」
「ヤダ、僕は赤しか飲まない」
「キミは子供か。白がダメならロゼもあったと思うが」
「アレは邪道だね」
「ええい、キサマは。たまには日本酒でもいいだろう」
「異議あり。オマエはカレーのときに日本酒を呑めるのか」
「そもそもカレーのときに酒なんか呑むか」
「あー、言ったな。僕がせっかく作ったのに」
「カレーのことにとやかく言ったつもりはない。今は酒の話をしているのだろう」
「いや、絶対カレーに対する侮辱だねソレは」
「阿呆か。そんなに呑みたければ買ってきたらよかろう」
「御剣が帰りに買ってきてくれればそんなこともなかったんだよ。だってビールが切れてるのなんて気付いてたんだろ」
「私が普段ビールなんぞ飲まないことを知ってての発言かね、弁護人」
「異議あり。僕が呑むことなんてキミは百も承知のはずだ。今日はカレーだしね」
「異議あり。キミは食事の用意をするとは言っていたが、メニューまでは言わなかった。したがって私がソレを予想できるとは限らない」
「異議あり。僕が休みの日にキッチンに立つときは大概カレーを作ってるときの方が多い。これでも予想できないとは言わせないぞ」
「ふっ。成歩堂、キサマは重大な間違えをしているようだな」
「な、なんだよ急に」
「確かに土日に限ってはカレーを作ってるだろう。だがしかし、平日に関しては休みその他に拘らずキミの夕食は和食の方が圧倒的に多いではないか」
「うぐっ」
「そもそも私がビールを買ってきたことがあるか?」
「無い……です………」
「ならばキミが補充しなかったのが悪いということになるな」
「うぅ」
「何か言い分は?」
「……ゴメンなさい」
「随分子供じみた怒り方だったが」
「ああ、もうゴメンって言ってるだろ」
成歩堂はそう言って、テーブルに突っ伏した。

※全面敗訴のなるほど君