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※ちょっとしたお話

【011:ポスター】8:21 2007/08/06

「成歩堂、今度の日曜日は空いてるだろうか」
「……珍しいね、御剣からの誘いなんて」
「ム、それはどうでもよかろう。で、空いてるのか?」
「あ、ええとちょっと待って。日曜日、日曜日……うん、大丈夫だけどどうかした?」
「うム、それならば一緒に映画など見に行かないかと思ってな」
「映画? 何見るの?」
「いや、その同僚からチケットを貰ってな。それがペアチケットだったものだからキミとどうかと思っただけなのだよ」
「あ、そうなの。うん別に僕は構わないけど」
「そ、そうか。それならば日曜日に迎えに行くからキミは家で待っていたまえ」
「分かったよ。来る前に一応電話くれよ。行き違っても悪いし」
「ム、了解した。では、日曜日楽しみにしているぞ」
「うん、じゃあお疲れ様〜」
パタン
……………バタンっ
「ん、何忘れ物?」
「たっだいま〜、って何よ。なるほど君」
「ああ、真宵ちゃんか。おかえり。御剣も今帰ったところだよ」
「うん、階段のところですれ違ったよ。いいよねえ、今度の日曜日に劇場版トノサマン見に行くんでしょ? 羨ましいなあ」
「そうだね、日曜―――劇場版、トノサマン?」
「あれ、ミツルギ検事言ってなかったの? だって日曜日が公開初日じゃない」
「いや僕が聞いたのはペアチケットを貰ったって――――アイツっ」
「へ、何、何があったの?」
「うん、嵌められた」
「あたしからしたら羨ましいのになあ。いいなあ、なるほど君」
「………真宵ちゃん、僕と交換しないか。今度の日曜」
「えー、ミツルギ検事の邪魔をするのはヤだなあ。だって、なるほど君誘ったんでしょ。じゃあ、なるほど君と一緒に行きたかったんだと思うよ」
「うう、僕は行きたくないよ」
「そんな冷たいこと言わないのっ」
「何で僕ばっかり責めるんだよ。結局アイツの趣味に付き合わされてるの僕じゃないか」
「まあ、ミツルギ検事も悪気は無いと思うから。多分ペアチケットってのも自分で買ったんじゃないのかなあ」
「どうせ特典とか付いてたんじゃないのか」
「あはは、よく分かったね。なるほど君」
「駅前のポスターにデカデカと書いてあったのを思い出したんだよ」
「まあまあ、折角だから行っておいでよ。久しぶりのデートなんでしょ?」
「う――まあ、そうなんだけどさ」
「じゃ、意地を張る方が損だよ。行ってらっしゃーい」
「分かったよ。結局、こういう事になるんだよなあ」

※【37.テロップ】の前話。不憫ななるほど君。