【006:クッション】21:17 2007/06/27 「成歩堂、何やってるのだ?」 「んー、寝転がってるんだけど」 「いや、ソレは分かる。が、そのクッションは何処から持ってきたものだ」 「僕の部屋」 「何故私の部屋にキミの私物があるんだっ」 「持ってきたからに決まってるだろ。いいじゃん、コレくらい」 「キミはそうやってどんどん私の部屋に私物を置いていってるが。……何を企んでる?」 「あはは、やだなあ何も企んでないよ。御剣、目が怖いって」 「いいか、この2週間。キミは自宅に帰ろうとしないな」 「そうだね」 「事務所に泊まっているならば分かる。だが、キミは私の部屋に泊まっている」 「うん」 「そういえば前に勝手に入ってきたときがあったな。――いつ、合鍵を作った?」 「ちょ、御剣苦しい苦しい。襟は掴まないでって」 「喧しい。人の部屋に不法侵入するような人間が異議など言える立場かッ」 「あー、うー、とりあえず放して。証言するから」 「チッ」 「ああ、苦しかった」 「それでキサマはいつ合鍵など作ったんだ」 「ええとね、1ヶ月前」 「いつの間に。キサマどうやって作ったんだ」 「いやあ、意外と簡単だよね。カギ屋さん呼んでさ、カギ無くしちゃったみたいなんですって、それだけ」 「明らかに犯罪だッ」 「えー、使ったのはこの前が初めてだよー」 「初めても何もあるかッ。そもそも部屋の主に何の断りも無く勝手に鍵など作るなッ」 「作れちゃうもんなんだねえ」 「他人事のように言ってる場合かッ。――で、何のために鍵など作った?」 「一緒に住もうと思って」 「………は?」 「実はもうアパート引き払ったんだよね」 「――ば」 「ん、どうしたの御剣。震えちゃってさ」 「バカか、キサマはッ」 「だって月の半分は事務所に泊まりになっちゃうことが多いし、残りはこの部屋だし。あんまり僕の部屋に帰ってないから引き払った方が得かなあって」 「そもそもキミが私の部屋に入り浸ってるだけだろうが」 「いやあ、今月家賃厳しくて」 「そっちが本音だろう?」 「うん」 「全くキミというヤツは」 「何、いいの?」 「納戸代わりに使ってる部屋でよければ勝手に使え。何だかもう疲れた」 「ホントに? うわ、絶対追い出されると思ってたよ、僕」 「追い出す気力も無いだけだ、阿呆」 ※なるほど君、計画的なのか短絡的なのか。ミッタンの部屋は2LDKベランダ付き。デザイナーズマンションの5階。インテリアは特に気にしない。 |