【003:スピーカー】1:56 2007/06/29 「やっぱ、オマエ金持ってるよなー。オレにくれよ、このMDコンポ」 「勝手に人のモノを物色するな。どうでもいいから落ち着いて座れ、矢張」 「まあまあ。矢張も酔ってるしさ」 「そうそうオレ酔ってるから許してくれよ御剣ぃ」 「――酔っていることは免罪符じゃないぞ、成歩堂」 「んー、まあとりあえず呑もうよ。そのために来たんだしさ」 「ム、そうだな」 「女の子が居ればもっと楽しんだけどな。オイ、御剣。メイちゃんどうしたよ、メイちゃん」 「喧しい。メイならアメリカに帰ったぞ」 「あ、そうだったの? てっきりまだ日本に残ってるかと思ったけど」 「あちらの検事局から招聘されたそうだ。まあ、一時的に日本に来ていただけだ。仕方あるまい」 「なんだよー、メイちゃん居ないのかよー。じゃ、成歩堂でいいや。オマエ真宵ちゃんとはどうなのよ。いや、あのコ、アンタの何なのさッ」 「――御剣、オマエの気持ちが少しだけ分かった気がするよ。タチ悪いな、コイツ」 「うむ、分かってもらえたか」 「オレの質問に答えろよ、成歩堂っ」 「あー、もう、うるさいなあ。真宵ちゃんは妹みたいなもんだよ、それで良いだろ別に」 「良くねぇよ。あーあ、御剣にはメイちゃんが居てさ、成歩堂には真宵ちゃんだろ。他にもあやめちゃんもそうだし。キリオさんだっけ、美人のマネージャーとかよお? オマエラ羨ましすぎるぞ、コラッ」 「御剣、グラスこれで良いか?」 「どれでもイイ。――ああ、矢張のはその右のヤツにしてくれ。そう、それだ。そのコップなら割られても構わん」 「矢張ー、オマエも呑むんだろー。ブツブツ言ってないで手伝えよ」 「なんだよっ、二人して。オレだって、オレだって――」 「泣き出し始めたよ。鬱陶しいなあ」 「矢張、泣くのは構わんがスピーカーに抱きつくのはどうかと思う」 「ああ、御剣放っとけって。コイツなんだかんだ言ってそのうち寝てるから」 「ム、そうか」 「ええと、つまみ何にする? ナッツとチップスあるけど」 「ナッツにしよう」 「じゃあワインにする? 日本酒とかも一応買ってきたけどさ」 「実は職場の同僚に泡盛を貰ったのだが。いい機会だ、キミも呑むか?」 「え、いいの?」 「一人ではあまり呑まないからな」 「何だよ、二人してよお。オレにだって紹介してくれてもいいじゃねえか――」 「そうなんだ。まあいいや。そうだ、簡単なアテでも作ろっか?」 「私は要らん。先程の居酒屋で結構食べたからな。ああ、そういえば豆腐ようがあるのだがどうだろうか」 「さすがカンペキだな、御剣検事」 「皮肉は止めたまえ。泡盛と一緒に貰ったのだよ」 「で、泡盛どこに置いてんの?」 「その棚の下――ああもう少し奥だ」 「これ?」 「違う。その左、そう。ソレだ」 「オレなんかこの前もサツキちゃんにフラれたし、ヤヨイちゃんは男になるとか言って逃げたしよぉ――」 「うっわ、20年ものかよ。高いんじゃないか、コレって」 「値段は言ってなかったが、多分高いだろうな」 「甕入りなんて初めて見たよ、僕」 「柄杓ですくって注ぐらしいが、あっただろうか?」 「付いてるようには見えないなあ」 「ムツキちゃんもミユキちゃんも最後には"矢張さんとはオトモダチで居たいの"なんて抜かしやがってさあ――」 「ふむ、ならばコレを使うといい」 「あ、レードルね。ありがと。えっと、水割りにする?」 「いや、ロックにしてくれたまえ」 「分かった。僕もロックでいいや。これは御剣の分な」 「すまないな」 「いいよいいよ。じゃ、お疲れさん」 「うむ、乾杯」 チンッ 「オマエらー、オレを無視して始めるなよー」 「あー、酔っ払いは黙って寝てろよ。絡み酒なんて嫌われるだけだぞ」 「矢張、キサマそれだから振られるのではないか?」 「酷えぇヤツだよな、オマエら」 「キサマの普段の行いが悪いのだ」 「弁護側、異議なーし。いやー、クるね。でも呑みやすいな、コレ」 「ウム、だから一人では呑まないようにしている」 「ああ、呑みすぎちゃうからかー。納得」 「チクショー。ホントに無視しやがってーーーッ」 「……御剣、ベッド奪われちゃったみたいだけど」 「放っとけ。後で床に転がすから構わん」 「オマエも案外酷いよな、御剣」 ※三人で呑んでます。なるほど君とミッタンはこのまま甕(720ml)を空けた模様。二人でもキツイ量だと思うんだが。40度前後の度数と考えていただければ幸い。 |